血糖の正常値(基準値)と異常値の場合の原因とリスクのある病気

カテゴリ:糖代謝

記事の種類:検査項目

血糖検査の意味

血糖検査は妊娠糖尿病のスクリーニングのために実施されます。

尿糖との違い

尿糖検査は、妊娠期における循環血液量の増加に伴い、腎臓の糸球体での濾過能力を超える量の血液が流入することで、濾過しきれないで尿として排出される糖が増えます。
これにより陽性(偽陽性)となる場合(腎性糖尿)があり、尿糖値はあまり当てになりません。
このため妊娠糖尿病は、血糖検査(75gOGTT:75g経口ブドウ糖負荷試験)での確定診断が実施されます。

妊娠中の糖尿病の分類

妊娠前からすでに糖尿病と診断されていた場合は、糖尿病合併妊娠、妊娠前は尿糖や血糖値は正常であり、妊娠中に初めて高値となった場合は妊娠糖尿病(GDM)に分類され、それぞれリスクが異なります。

糖尿病合併妊娠

糖尿病合併妊娠の場合、早期治療が大切になります。
妊娠5?7週までに入院を含めた治療を開始した場合は、胎児奇形の発生率は約0.8%程度であるのに対し、妊娠8週以降に治療を開始した場合は、胎児奇形の発生率は7.5%に跳ね上がるというデータがあります。

妊娠糖尿病(GDM)

妊娠糖尿病は、以前は妊娠時のみに発症する耐糖能異常とされていましたが、近年は妊娠中に初めて発症した糖尿病と定義されています。
これは出産後に尿糖値や血糖値が正常値となっても、数年後に2型糖尿病を発症しやすい事が確認されており、産後に発症した糖尿病も含めて妊娠糖尿病と分類されています。

このため、妊娠中に妊娠糖尿病と診断された場合、出産後に正常値に戻っても、将来に渡り定期的な糖尿病の検査を受ける事が推奨されています。
なお、妊娠糖尿病であっても、妊娠7週より前に高血糖となった場合、胎児奇形となる可能性があります。
分娩は胎児や母体に異常がない限りは自然分娩で実施されます。

検査方法

妊婦健康診査時に採血を行い、随時血糖値を測定します。
妊娠初期の随時血糖が100mg/dL以上の場合、妊娠中期に妊娠糖尿病のスクリーニングとして50gGCT(50gブドウ糖負荷試験)、確定診断として75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)を実施します。
※50gGCT、75gOGTTは食事の影響を受けない血糖値の測定方法です。

50gGCT(50gブドウ糖負荷試験)

妊娠中期(24?28週)に50gGCT(50gブドウ糖負荷試験)により妊娠糖尿病のスクリーニングを実施します。
※50gGCTはブドウ糖50gを飲み、その1時間後の血糖値を測定し、140mg/dL以上であれば陽性です。(妊娠糖尿病確定ではない)

75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)

もし、50gGCTで陽性となった場合は、妊娠糖尿病の確定診断のために、更に75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)を実施します。
※75gOGTTは空腹時血糖値が92mg/dL以上、ブドウ糖75gを水に溶かしたものを飲み、1時間後180mg/dL以上、2時間後153mg/dL以上の何れかに合致した場合に陽性と診断されます。

正常値(基準値)

随時血糖

100mg/dL未満

50gGCT

1時間後:140mg/dL未満

75gOGTT

空腹時:92mg/dL未満
1時間後:180mg/dL未満
2時間後:153mg/dL未満

原因

妊娠中に糖尿病を発症しやすい要因として、母体のインスリン抵抗性があります。
インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるブドウ糖を細胞に吸収させる物質です。
妊娠中は胎児にブドウ糖(グルコース)を優先的して供給するため、母体側ではグルコースをあまり取り込まないよう、インスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)になります。
これにより母体へのグルコースの吸収量が減少し、血中のグルコース量が増え、血糖値が上昇します。

また、もし妊娠前から糖尿病を患っている場合は、妊娠により糖尿病が悪化する可能性が高くなります。

治療法

妊娠糖尿病の場合、主に以下の治療を実施します。

  • 食事療法
    食前血糖値が100mg/dL以下、食後2時間の血糖値が120mg/dL以下、HbA1cが5.8?6.0%以下になるように管理 軽症の場合は、妊娠中は食事療法が中心となる
  • 運動療法
    妊娠中は運動療法は切迫流産を誘発恐れがあるため軽いウォーキング程度
  • 薬物療法(インスリンの投与)
    血糖値が高い場合のみインスリンの投与(自己注射)を実施
なお、切迫早産の治療に用いられる塩酸リトドリンは、副交感神経を刺激する作用があるため妊娠糖尿病を重症化させる可能性があります。
そのため、妊娠糖尿病と診断された場合、上記を使用することはできません。

異常値の場合にリスクのある疾患

  • 胎児奇形

胎児奇形の種類

糖尿病合併妊娠で発生しうる先天奇形としては以下が挙げられます。

  • 中神経系
    • 無脳児、脊髄髄膜瘤、水頭症
  • 骨格系
    • 尾部退行症候群
  • 心血管系
    • 大血管転位症、心室中隔欠損症、大動脈縮窄症
  • 胃・尿路系
    • 腎無形成、腎嚢胞、重複尿管
  • 消化器系
    • 鎖肛、下行結腸狭小
  • その他
    • 兎唇(上唇裂)、口蓋裂

公開日時: 2017年10月05日  17:08:45

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